ビジネス環境は中国を上回る「アフリカの奇跡」
ルワンダは人口約1100万人、関東地方の一回り大きい程度の面積を持つ東アフリカの小さな内陸国だ。周囲をケニア、タンザニア、ウガンダ、ブルンジ、コンゴ民主共和国などに囲まれている。
ルワンダと聞くとまず頭に浮かぶのが、「ホテル・ルワンダ」という映画だろう。この映画でも描写されているが、ルワンダでは1994年に約80万人が犠牲になった大虐殺が発生した。
当時の人口が約700万人であるから、わずか3カ月の間に人口の10%を超える方々が亡くなったことになる。今も武装集団がはびこる危険な土地、そんなイメージをお持ちの方も多いのではないだろうか。
しかし、現在のルワンダは私たちの想像を見事に裏切る。夜でも女性が街を歩けるくらい良い治安、ごみ一つ落ちていない清潔な街、洗濯乾燥機などの家電がずらりと並ぶショッピングモール、シャイで穏やかな人々。
虐殺から20年以上が経過し、ルワンダは「アフリカの奇跡」と呼ばれる復興を遂げた。過去10年のGDP成長率は平均で7%を超えている。
世界銀行が毎年発表している、世界189カ国・地域のビジネスのしやすさを順位付けしたビジネス環境ランキングでは、全体で64位とアフリカで2番目に良い評価を得ている。中国が84位、ベトナムが90位であるから、アジアの途上国と比較しても遜色ないビジネス環境を持っているといえるだろう。
神戸とルワンダをつないだのは、ICT
ルワンダがさらなる成長エンジンの1つとして位置付けているのがICTである。アメリカ有数の名門工科大学であるカーネギーメロン大学を誘致し、1億USドル規模のスタートアップファンドやICT企業の利用を想定したセンターを設立するなど、さまざまな方策でこの分野での投資を奨励している。
「『ICT大陸』への道を歩き出したアフリカ」(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45172)でも紹介したが、2015年10月にはルワンダがホスト国としてICT国際カンファレンス「Transform Africa 2015」を首都キガリで開催した。
カンファレンスには世界の50カ国以上、850以上の企業から2500人を超える参加者が集まり、アフリカのICT市場の将来について議論を行った。
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人材を育成し、ビジネス環境を整え、シンガポールのように小さいながら投資を呼び込んでアフリカ市場のハブとなる戦略を描く国、それがルワンダである。
そのルワンダの将来性に着目している地方自治体が、神戸市である。