70年前の出来事への謝罪の有無より不安定化する東アジア情勢への対応を考えるべきだ(資料写真)

 オバマ米大統領が、5月27日に広島を訪問することが決まった。これはアメリカの現職大統領としては初だが、演説や記者会見は予定されていない。それでもこれが大ニュースになるのは、広島訪問に重象徴的な意味が含まれているからだ。

 アメリカ政府の公式見解によれば、1945年8月に原爆を投下しなかったら日本の降伏が遅れ、11月には100万人の兵力による本土上陸作戦が予定されていたので、原爆は終戦を早め、多くの人命を救ったことになっているが、それは本当だろうか。

原爆投下は史上最大の国際法違反

 広島平和記念公園にある原爆慰霊碑には「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれている。この文章には主語がないが、これを「日本人は過ちは繰返しませぬから」と解釈するのはおかしい。

広島平和記念公園の原爆慰霊碑(出所:Wikimedia Commons)

 主語は「人類」だというのが公式の説明だが、これもおかしい。人類が人類に爆弾を落とすはずはない。原爆はアメリカが日本に落としたのだから、「アメリカ人は過ちは繰返しませぬから」と書くのが正しい。