米国人の6割は、メディアの報道に疑問を持っているという世論調査が出た。メディアに対する不信感は、1970年に調査が開始されて以来最悪となった。
これは、9月末に米ギャロップが発表した毎年恒例のメディアに関する世論調査の結果だ。「新聞、テレビ、ラジオなどのマスメディアは、ニュースを十分に、正確に、公正に報道していると思うか?」という質問に対し、57%が「そう思わない」と回答した。
これが「新聞のニュース」に限定すると、信頼していない人は75%。「テレビのニュース」に限定すると、78%が信頼していないと答えるという惨憺たる結果となった。
テレビニュースの「やらせ」は当たり前?
1年ほど前、保守系の草の根運動「ティーパーティー」が盛り上がり始めた頃、この運動を熱烈に支持した保守系テレビ局「フォックス」のニュース番組が、ティーパーティー集会に集まった人数を実際より数倍多く報道した。このニュースを伝える映像に、過去の関係のない集会のカットを挿入し、あたかも数万人が集まったかのように見せた。
日本なら「やらせ」として大問題になるような問題も、こちらでは夜のニュースパロディー番組で話題になるくらいで終わってしまう。周囲の反応を聞いても「どのニュースもどうせやらせばかりだから」と冷めた反応だ。
米国では、政治的信条によって読む新聞や、見るニュースが変わってくる。特にテレビの棲み分けが極端で、保守系、リベラル系、穏健派と政治色を全面に出し、かなり偏った報道をする。
メディアの信頼度についての世論調査が始まった70年は、7割の人がメディアの報道のあり方を「信用している」と答えていた。
その後のテレビニュースの台頭と平行して少しずつ信用度が下がっていくが、大幅に減り始めるのは2000年代に入ってからだ。