米ヒューレット・パッカード(HP)は9月30日、新たな最高経営責任者(CEO)兼社長として、ドイツの企業向けソフト大手SAPでCEOを務めていたレオ・アポテカー氏(57)を迎え入れると発表した。
また取締役会は併せて、シリコンバレーの名門ベンチャーキャピタル、クライナー・パーキンス・コーフィールド&バイヤーズ (KPCB)のマネージングパートナー、レイ・レイン氏(63)を非常勤会長に選出した。両氏は11月1日付でそれぞれの職に就任するという。
HPは8月に、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)疑惑に絡む問題で会長、CEO、社長を兼務していたマーク・ハード氏が辞任しており、キャシー・レスジャックCFO(最高財務責任者)を暫定CEOに任命し、ハード氏の後任探しを急いでいた。
これまで取締役会がどんな人物を新たなトップに選ぶのか様々な憶測が流れていたが、両氏の名前は全くの予想外。アナリストや投資家は驚きを隠せないようだ。
アポテカー氏、ハード前CEOの戦略を踏襲へ
新CEO兼社長となるアポテカー氏は、統合基幹業務システム(ERP)最大手のSAPに約20年勤めた人物。
SAPの各国法人で社長やCEOを務めた後、2002年にドイツ本社の取締役に就任。副CEOや共同CEOなどを経て2009年にCEOに就いたが、今年2月に突如として辞任した。
ドイツ人で5カ国語を話す同氏は、これまで一度も米国に長期で住んだことはなく、これをきっかけにHPの本社があるカリフォルニア州パロアルトに移り住むと米ウォールストリート・ジャーナルは報じている。
しかしアポテカー氏が勤めていたSAPの年商は150億ドルで従業員数は4万7000人。これに対しHPの年商は1150億ドル、従業員数は30万4000人と規模が1桁違う。