今年の春、グーグルが発表した「ファッション・トレンドレポート」が話題となった。これまでファッションの流行予測といえば、アパレル業界のバイヤーや評論家、ファッションの専門記者などが、各ブランドやデザイナー主催のファッションショーに参加したり、街中で若者のファッションを肌で感じるなどして、アナログ的な手法を駆使して発表するものだった。

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 しかしグーグルは、2012年から2015年の検索ログから、ファッションをキーワードに検索された約60億件のクエリーを抽出して分析し、消費者がどんなファッションに関心を抱いているのか、新たな流行が起き、衰退していくのか、「継続的なトレンド」と「シーズナブルなトレンド」を分けて、その兆候を分析・発表したのだ。

 ニューヨーク・タイムズ紙にも掲載され、話題となった2015年春のトレンドは次のようなものだった。

◆チュールレースのスカート(レディース)

 女性らしいロマンチックな印象の「チュールスカート」が西海岸から発生して全米に広がった。2014年1月から2015年1月にかけて35%も検索が上昇。もっとも人気がある色は黒と白だ。また、スカートを買うだけではなく自分で作ることに興味を持つ女性も多く、YouTubeには2万本以上の「チュール・スカートの作り方」ビデオが掲載された。

◆ジョガー・パンツ

 こちらは東海岸から広がり、男性、女性、子供、そして幼児用まで広く検索された「ジョガー・パンツ+ブランド名」などの複合検索をしており、その動向から、ブランド別の人気度や売れ筋の色までを特定することができる。また、変わったジョガー・パンツを探す人も多く、そのトップは何と「絵文字ジョガー・パンツ」だ。

ビッグデータ分析はビジネスの種の宝庫

 グーグルの流行予測の特徴は、新しい流行が何月何日からどの地域で発生し、そのトレンドが他の地域へ広がっていくスピードまでを、精密に分析していることだ。

 さらに、検索ログから発見した流行の兆候は、YouTube に消費者がアップする関連動画の投稿件数からも検証することで、予測の精度を高めている。