秋の深まる中、中東の情勢はますます混迷の度合いを深めている。
ユーラシアのジョージア/グルジア(サカルトヴェロ)も表面上は穏やかであるが、様々な変化の予兆も見られる。
政治状況は来年秋の議会選挙に向けて今後流動的な局面を迎えると思われる。この点については国際情勢も関連して本稿の後半で述べたい。まずは今も昔もこの国が国際的に重要な位置にあることを再び証明した考古学遺跡での発見について取り上げたい。
古代遺跡も、最近の地方政治情勢も、かの国の政治がいかに国際情勢に連動してきたか、影響を受けてきたか、そして人の移動を通して深層で結びついているかをよく示しており、ユーラシアの政治情勢についても様々な示唆をわれわれに与えてくれる。
紀元前7世紀の文字の発見?
すでに9月24日付ナショナル・ジオグラフィック日本語版でも紹介されているが、今年8月、首都トビリシから30分ほど西に車で走った高速道路脇のグラクリアニ(グラクリャーニ)遺跡から、奇妙な「文字」が見つかった。
上記の記事では祭壇下の石板に掘られた一連の模様と紹介されている。筆者は11月にトビリシで開催された第1回グルジア/ジョージア学総大会(Congress of Kartvelology)(グルジア科学アカデミー、トビリシ国立大学、グルジア正教会主催)に参加した際、幸い現地視察の機会を得た。
また、発掘責任者のリチェリ教授(トビリシ国立大学考古学研究所所長)は20年来の知己でもあり、限られた時間の中でいろいろと話を聞くこともできた。
詳しい説明は省くが、写真でもよく分かるように、出土品だけでも遺跡の保存状態の良さと今後の新たな発掘成果への期待が膨らむ。来年5月に予定している本学(首都大学東京)公開講座でもこの古代遺跡発見については一部注目してみたいと考えている。
遺跡は東西グルジアを結ぶ主幹線道沿いに位置しており、古都ムツヘタからは車ですぐであった。
「文字」はナショナル・ジオグラフィックの記事にもあるように、様々な謎を投げかけるが、単なる装飾には見えず、隠れる部分に掘られていたということからもこの問題の専門家ではない筆者にも何か呪術的な意味を想起させた。