台湾海軍が対潜水艦演習、過去25年で最大規模 中国の侵攻想定

台湾海軍が中国の侵攻を想定して実施している軍事演習「漢光30」で、水中爆雷を発射した高速戦闘艇(2014年9月17日撮影)。(c)AFP/SAM YEH 〔AFPBB News

 中国の東シナ海、南シナ海における露骨な膨張政策が、結果として台湾の地理的重要性を際立たせている。

 中国の戦略的狙いは、東シナ海と南シナ海を排他的な「中国の海」にすることであろう。東シナ海上空の「防空識別圏」(ADIZ)の設定、南シナ海・南沙諸島における大規模な埋立工事による人工島建設とそこでの飛行場設置は、東シナ海、南シナ海における制空権・制海権の確立を目指すものである。

 台湾は、まさに東シナ海と南シナ海の結節点に位置し、中国海軍艦船が東シナ海から宮古海峡を通り、また南シナ海からバシー海峡を通って西太平洋に出る状況を監視する戦略的要衝である。逆に、中国の観点で見れば、海軍の西太平洋進出にあたり、台湾を中国の海・空軍の戦略拠点とすることができれば戦略的に圧倒的な優位に立ち、東アジアの軍事バランスを中国優位に書き換えることが可能となる。

 そもそも中国が国境を接した外部に深刻な軍事的脅威が存在しない中で、4半世紀にわたり国防費を急増させてきたのは、第一義的には台湾を武力で統一するためである。

 中国は内モンゴル自治区の朱日和戦術訓練基地に、台北の総統府を模した実物大のモックアップを建設し、すでにこれを用いた演習を行っていることを産経新聞が報じている(「台湾・総統府を実物大で複製 中国軍、武力統一向け演習」)。習近平政権が台湾の武力統一に向けたゆまない準備を進めていることが分かる。中国の台湾侵攻は、決して絵空事ではない。