東京・秋葉原で“戦利品”を見せ合う中国人観光客

 前回の『中国人「爆買い」商品の人気が人気を呼ぶメカニズム』では、訪日中国人が帰国後に再購入のチャネルを使い分ける様子、定番商品が誕生するメカニズムなどについて紹介しました。

 日本を訪れる中国人の爆発的な増加が、中国の連休時期だけではなく通年化し、さらに中国のインターネットとソーシャルメディアの力を得たことによって、「爆買い」は一過性の流行では終わらない現象になりました。ただ、現在の爆買い現象には問題もあります。

 それは、日本企業から見ると、爆買いがあくまで「売れている」に過ぎないという点です。多くの商品が売れていても、それは「企業が仕掛けて、その結果として商品が売れた」わけではないのです。

 「売れる」から「売る」へのステップアップが、今後、企業にとって非常に重要なポイントになります。なぜならば、売れているという状態は主導権が消費者側にあるため、とても不安定で、突然売れなくリスクを常に抱えることになるからです。

 中国の人たちは熱しやすく冷めやすいですから、今日この商品を箱買いしていたにもかかわらず、1週間後にはもう別の商品を爆買いしているという可能性も決してゼロではありません。

 そこで、今回からは『「売れる」から「売る」へのステップアップシリーズ』と題して、爆買いに関するコミュニケーション戦略について詳しく分析していきます。今回は、爆買い中国人が日本旅行で、どのような情報をもとに購入する日本製品を決定しているのかについて、詳しく紹介したいと思います。

爆買いの“参考情報”は何か

 筆者は、2015年5月から7月の3カ月間、日本をよく知る身として、日本に旅行するためにさまざまな情報を収集している中国人(友人も含めて計45人)のサポートをしました(おすすめの観光スポット、ホテル、効率的な買い物をするためのお店選びや紹介等)。

 その過程で、彼らが日本旅行中に実際に買うつもりでいる日本の商品に関する情報がどこに由来しているのか、詳細に観察をする機会に恵まれました。