近代的なビルが林立してその間をたくさんの自動車が行き交っている。その街並みは東京やニューヨークなど先進国の都市となんら変わるところがない。北京は世界有数の都市になった。
中心部のオフィス街の地下にはサラリーマンが昼食を取る小奇麗なレストランが並んでいる。一昔前は中国料理が中心だったが、今ではイタリア料理、日本料理などを提供する店も多い。スターバックスやケンタッキーフライドチキンなどもある。
そこで普通に昼食を取ると40元から50元ほどかかる。1元を20円とすると800円から1000円。もはや、北京の物価は東京と変わらない。ものによっては北京の方が高いくらいだ。
北京のオフィス街に店を構える飲食チェーン店の経営者の話を聞く機会があった。その話から、中国が抱える深い闇が見えてくる。
自分が働く店に、客としては入れない従業員
昼食時に訪ねたその店は、満員で入り口には行列ができていた。ところが、経営者の話を聞いて驚いたのは、従業員の賃金の低さである。注文を取って料理を運んでいる人の月給は1600元から2000元程度(約3万2000~4万円)でしかない。それは周辺のレストランでも変わらないそうだ。ボーナスは年2回出されるが、支給額は年間で1カ月分の給料程度に過ぎない。ただ、社員寮に住んで賄い飯がついているために、それでも何とか暮らせると言っていた。