安倍晋三首相の米国議会での演説に日本の戦争行動への謝罪は期待しないという向きが米国には確実に存在する――ワシントンの米国議会を実際に取材して、こんなことを痛感させられた。戦時の過去よりも戦後の日本の実績を優先して語ってほしいという議会側の意向を直接聞かされたのだ。
「安倍首相は、米国議会での演説について米側からの助言は特に必要としないでしょう。何を述べるべきか、彼自身に適切に判断する能力が十二分にあるからです」
ジム・タレント前上院議員は強い口調で答えた。まず、この発言が新鮮に響いた。安倍首相が4月29日に米国連邦議会上下両院合同会議で日本の首相としては初めて演説を行う。その演説に関する「米国側からの要望」があれこれ伝えられていたからである。
オバマ政権周辺やリベラル系の米側日本問題専門家たちが安倍首相に「侵略」や「植民地支配」への反省や戦争への「謝罪(お詫び)」を議会演説で述べることを求めるという情報が、日本の大手メディアでしきりに流されてきた。そこで強調されていたのは「村山談話の効用」だった。
だがタレント前上院議員は、米側がそもそも安倍首相に演説の内容についてあれこれ求めるべきではない、なにも助言することはない、という趣旨を語ったのである。