中国が主導するAIIB(アジアインフラ投資銀行)の創設メンバーは約50の国と地域になった。国と地域としたのは台湾が入っているためだ。政治的に中国と鋭く対立している台湾までが参加を表明している。アジアで参加を表明していないのは日本と北朝鮮ぐらいである。
日本人が考えている以上に、アジアの人々は中国主導の世界を受け入れつつある。AIIBの設立はアジアの中心が日本から中国に移行したことを象徴的に表す出来事と言えよう。
大手マスコミはこのニュースに関して事実関係を伝えるだけで、積極的な論表を避けている。入る必要はないと明言しているのは中国共産党を蛇蝎のごとく嫌う産経新聞ぐらいで、他のマスコミは“だんまり”を決めこんでいる。毎日新聞が4月1日の社説で「関与へ作戦の立て直しを」と題して柔らかく参加を促しているが、これも参加を強く促すものではなく、腰が引けた内容になっている。
ここでは、早く参加を表明しないと儲け話に乗り遅れるなどと言った近視眼的な視点ではなく、より長期的な視点からAIIBについて考えてみたい。
米国が世界を取り仕切る時代が終わった
AIIBの設立は間違いなく世界史の転換を象徴する出来事である。第2次世界大戦後、初めて米国以外の国が主導する金融の枠組みが作られたからだ。それは米国が世界を取り仕切る時代が終わったことを示している。