「最近、中国は南シナ海で海洋を一方的に埋め立てて人工島を建設している。米国は、中国の野心的な領有権拡大を抑えるため人工島建設を阻止すべきである」──。
米国議会上院の超党派有力議員たちがオバマ政権に緊急書簡を送り、実力行使をも含む強固な対策の実行を要求した。中国は東シナ海でも同様の一方的な領土拡大を図っており、日本にも影響の及ぶ動きだと言える。
領有権紛争中の海域を占拠
この1~2年の間、中国は南シナ海での領有権拡大のために、海洋の岩礁や浅瀬に大量の土砂や土台を埋め立て、新たな島や陸地を造る作業を大規模に進めてきた。特にベトナムやフィリピンと領有権を争うスプラトリー諸島(南沙諸島)では、もともとは島ではなかった岩礁や浅瀬に土砂などを大量に埋め、新しい島にしてしまうという強引な方法である。
スプラトリー諸島全体の領有権はそもそも紛争中であり決定していない。それにもかかわらず中国当局はその大部分を一方的に軍事手段で占拠してきた。
そのうえ、その海域の数カ所に今度は人工島を造成して軍事基地にするというのだ。国際法上でも外交規範に照らしても、露骨な無法行為だと言える。
米国側の情報によると、中国当局は過去12カ月ほどの間に、埋め立て作業によってスプラトリー諸島のガビン礁に11万4000平方メートル、ジョンソン礁に10万平方メートル、フィアリークロス礁に1平方キロメートルの新たな島や陸地をそれぞれ築いた。特にフィアリークロス礁の人工島には、長さ3000メートルもの滑走路が建造されつつあるという。これら3カ所の埋め立て陸地の広さは合計すると1.2平方キロメートルほどで、竹島の6倍、日比谷公園全体の6倍以上の面積となる。