今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(1月25日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)は、前回に引き続き社会医学環境衛生研究所・所長の谷康平氏がナビゲーターを務め、イスラム過激派組織による日本人拘束事件などについて語った。

情報が錯綜する日本人拘束事件

イスラム国の人質交換要求、狙いは有志連合の分断 専門家ら

ジャーナリストの後藤健二さん拘束に関するニュースを見る通行人 ©AFP/ KAZUHIRO NOGI〔AFPBB News

 中東で起きた日本人拘束事件に関して、中山さんは外務副大臣として現地対策本部で指揮を執っておられるため、今回も私が代役を務めます。

 まず、イスラム過激派組織「ISIL(イラク・レバントのイスラム国)」が起こした今回の一件は、この数日で目まぐるしい展開を見せています。

 1月25日には、拘束された後藤健二さんが湯川遥菜さんの殺害場面だとする写真を持った画像が公開されるとともに、イスラム国は人質の解放条件を2億ドルの身代金から女性死刑囚の釈放に変更しました。

 しかし、後藤さんが手に持っていた湯川さんの遺体とされる写真が果たして本物かどうか。というのは、私は東日本大震災の翌年にオーストリアを訪問したときに次のような経験をしたからです。

 空港からのタクシーの中で、運転手にどこから来たのか聞かれ、日本だと答えると彼はこう言いました。「日本は滅亡したんじゃないのか?」と。

 彼は地震による津波による多数の死者の凄惨な状況の画像や映像を見て、どうやら日本が滅亡したと思い込んでいたのです。しかし、同じものを日本の私たちが全て見ているかといえば、必ずしもそうとは限りません。

 要するに情報の内容によってメディアが自主規制をかけるケースがあり、その意味で私たちは正しい答えを導き出すための真実を伝えられているとは言い難いのです。

 今回の事件でも、情報が錯綜する現時点においては、あらゆる可能性を排除すべきではありません。大事なのは誰かが言ったからそれを信じるのではなく、自分の頭で考えること。他人の声に耳は貸しても、最終的に判断するのはあくまで自分であるべきです。