これまで国際教養大学会津大学と、日本の大学教育を変えようと果敢に挑戦している新しい公立大学をご紹介してきた。今回は株式会社立でまた都会にあって大学教育の新しい形を模索しているユニークな大学をお伝えしたい。

 デジタルハリウッド大学である。

 いまや老若男女、ビジネスパーソンも主婦も、学生もITを使いこなせなければ生活ができないような環境になってきている。しかし、デジタル技術を分かりやすく実践的に教えてくれる教育機関は意外に少ない。

 そうしたなかで登場したのがデジタルハリウッド大学だった。文部科学省に設立申請後の審議では、当初、冷たい目で見られたそうだが、この大学も日本の大学の問題点を克服し新しい教育の在り方を目指すために様々な取り組みを実践している。

 伝統校では反発があってなかなかできないような面白い取り組みと言える。 

自由な研究の場・MITメディアラボで学んだ大きなビジョン

川嶋 杉山学長はMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボの客員研究員を経験されていますが、きっかけは何だったんですか。

杉山 日本大学の理工学部建築学科で助手をやっている時、日米貿易拡大の流れの中で千葉県佐倉市に研究所団地をつくり、そこにMITのメディアラボを誘致しようという構想が持ち上がったんです。ちょうどバブルの真っ最中でした。

 結果的にはMIT自体が日本に出るのではなく、メディアラボのような研究所をつくるための研究員を育ててあげようということになった。それで、実際に交渉にあたっていたミサワホームの三澤千代治さんが日大理工学部建築学科の出身だった関係で、日大から研究員を派遣することになったというわけです。