米国の中間選挙の結果は日本の安全保障にプラスの効果をもたらす――。こんな意外な展望が浮かんできた。なぜなのか、その理由を説明しよう。 

 11月4日の米国の中間選挙は共和党の大勝利だった。連邦議会の上下両院議員と州知事の選挙ではいずれも共和党側が圧勝した。民主党にとっては「地すべり」的な敗北だった。

 この選挙がもたらした最大の政治変化は、上院の多数派が与党の民主党から野党の共和党へと替わったことである。こうした変化の背後には、間違いなく同じ民主党のオバマ大統領の人気低落があったと言える。大統領への信任投票という意味合いもあったのだ。

 さて、今回の共和党側の大躍進は今後の米国の内外での政策にどう影響していくのだろうか。それについて様々な観測が語られている。特に日本にとってはTPP(環太平洋経済連携協定)がらみの影響が予測されている。

 米国議会の上院では、民主党側にTPPに「待った」をかける保護主義志向の議員が多い。そのことがオバマ大統領のTPP促進にブレーキをかけてきた。だが、新議会で多数派となる共和党は自由貿易志向が強いため、今後は大統領の前進が加速され、日本に市場開放の合意を求める勢いが強まる――という予測である。

 だが日本にとって、より注目されるのは、上院の多数派が共和党になることによってアメリカ全体としての対中政策、対日政策が変わり得る可能性だ。オバマ政権の安全保障や外交の政策が複雑な形で変わり得るのである。

外交や安保の政策に強大な影響を及ぼす連邦議会上院

 安全保障や外交の政策の遂行は、行政府のオバマ政権がもちろん第一義の責任を有する。だが米国議会、特に上院の果たす役割も大きい。国防費など予算を決める権限、外交人事を承認する権限とそこから生じる発言力、条約を批准する権限から派生する外交や安保の案件への種々の影響力など、連邦議会上院のパワーは強大である。