今年のノーベル物理学賞受賞者として、青色発光ダイオード(LED)を開発した赤崎勇氏(名城大教授)、天野浩氏(名古屋大学教授)、中村修二氏(米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授)の3人が選ばれた。同じ日本人として誇らしい限りであり、久しぶりに日本中が沸いた。

ノーベル平和賞はマララ・ユスフザイさんに

ノーベル平和賞のマララさん、印パ両首相を授賞式に招待

マララ・ユスフザイさん〔AFPBB News

 他方、ノーベル平和賞がマララ・ユスフザイさんに決まって、ある市民団体の異様な落胆の声が聞こえた。

 日本国憲法第9条をノーベル平和賞に推薦した「憲法9条にノーベル平和賞を」実行委員会とこれに賛同する人たちだ。賛同の署名が44万人も集まったというから相当な数には違いない。

 今年4月、ノルウェー・オスロのノーベル委員会から「第9条をノーベル平和賞に」との推薦を受理した旨連絡があった。この際、筆者は某雑誌に次のように書いた。

 「この申請には著しい誤認識がある。日本人が如何に独りよがりで『井の中の蛙』であるかを世界に向けて発信しているようで恥ずかしい限りである」

 ノルウェー・ノーベル委員会は申請様式が整っている限り、受理することを通例としている。だから受理したのだろうが、「中身を詳細に調べて、今頃きっと目を白黒させるに違いない」とも書いた。

 今回、ノーベル賞受賞に落選したものの、署名活動を進めてきた市民団体メンバーは「まだまだこれから」「ここまで来た」と鼻息が荒い。

 正確な知識を国民に知らせるのはメディアの努めである。だが、この申請に係る誤認識について、メディアが指摘したのを筆者は寡聞にして知らない。いまだに「鼻息が荒い」人がいるので、今一度指摘してみたい。

 ノルウェー・ノーベル委員会への申請文には次のようにあった。

 「日本国憲法は前文からはじまり 特に第9条により徹底した戦争の放棄を定めた国際平和主義の憲法です。特に第9条は、戦後、日本国が戦争をできないように日本国政府に歯止めをかける大切な働きをしています。(中略)どうか、この尊い平和主義の日本国憲法、特に第9条を今まで保持している日本国民にノーベル平和賞を授与してください」