過去数十年間、私は毎年夏にロングアイランド東部で週末を過ごす真面目な投資家を集めて一連の昼食会を催してきた。ロングアイランド東部は比較的涼しく風光明媚で、日頃気を張りつめている人たちがリラックスできる場所だ。今年も約90人が8月の4回の金曜日の昼食会に参加した。

 参加者の多くはよく知られた人たちで、ビリオネアーが何人もいた。ヘッジファンドマネジャー、企業経営者、アクティヴィスト、企業買収の専門家、不動産業界の大物、プライベートエクイティ業者、ベンチャーキャピタリストなどがいて、それぞれの日頃の業務からすれば多様化していたと言える。平均年齢を下げるために新しいメンバーも加えている。

 過去2回の夏季の集まりでは参加者は総じて楽観的な見通しを持っていたので、今年は不安定な世界情勢を受けて彼らのムードが果たして変わったかどうか興味があった。

 その答えは、投資家は例外なく、自分たちは地政学的な脅威からうまく逃れることができ、米国経済あるいはその金融市場はほとんど混乱なしで済むと信じている、ということだった。

 少数だが悲観的な見方を持つ人たちもいた。

 1人は、北米上空の人工衛星が核爆発によって電磁パルスを放出し、全米の送電網を破壊し、その結果飢餓と混沌をもたらすこともあり得るという可能性を指摘した。

 少数の人たちは地政学上の混乱が拡大すると危惧していた。

 大多数は明るい見通しを抱いてたが、しかしこれはウクライナ危機がすでにヨーロッパ各国の経済に影響し、イタリアは不況下にあり大陸経済の牽引車であるドイツでさえ景気下降しつつあるという事実をまともに受け止めているとは言えない。もしヨーロッパが再び不況に陥れば米国経済は何らかの影響を間違いなく受けるだろう。

 個別の問題で最大の懸念は、イラクとシリアのイスラム国(ISIS)が軍事的に手強いことが判明して米国が地上部隊を中東に再派遣するかもしれないということだ。参加者の1人はこれから25年以内に西側はイスラム世界と大きな戦争をするのではないかと心配すると結論づけた。