米アップルが今年の秋に発売するスマートフォンの新モデル「アイフォーン(iPhone)6」には、サファイアガラスとも呼ばれる合成サファイアがディスプレイ素材に採用される見通しだと米ウォールストリート・ジャーナルが伝えている。
ガラスより割れにくく、傷つきにくい
アイフォーンの現行モデルではディスプレイに米コーニングの高強度ガラス「ゴリラガラス」を使用している。一方でアイフォーン5sと同5cではレンズカバーに、アイフォーン5sでは指紋認証センサー部分に合成サファイアを使っている。
合成サファイアの特徴はその硬さだ。
鉱物などの硬さを表す「モース硬度」ではダイヤモンドに次ぐ高い数値を示しており、割れにくく、傷がつきにくい。また、熱にも強く腐食耐性もあることから、航空機や軍用車両のような過酷な環境の乗り物、あるいは高級腕時計の文字板カバーにも使われている。
アイフォーンの新モデルについては、画面サイズが現行モデルよりも大きな、4.7インチと5.5インチの2モデルが市場投入されると見られている。
ウォールストリート・ジャーナルの今回の報道によると、アップルは十分な量を確保できた場合、合成サファイアを5.5インチモデルに採用する見通し。また同じく今秋登場すると噂されている腕時計型端末「アイウォッチ(iWatch)」にも採用する計画だという。
課題はコストと量産体制
ただし、合成サファイアを使ったアイフォーンにはまだ様々な課題があり、現実的に既存素材を使った製品に勝るかどうかは分からないと指摘されている。
その1つは価格だ。アナリストの推計によるとサファイアディスプレイの1台当たりのコストは16ドル。これに対しゴリラガラスは3ドル。
アップルはこの差を価格に転嫁する可能性もあるが、他社製品との差異化を図るため、自社で吸収する可能性もあるという。もし後者であればアイフォーンの利益率は低下することになる。