米ウォールストリート・ジャーナルは、米アップルが今年発売するアイフォーンの新モデル「iPhone 6」(通称)はアジア経済に大きなプラス効果をもたらすと伝えている。
アップルは今年の秋、画面サイズが現行モデルよりも大きな、4.7インチと5.5インチの2モデルを市場投入すると見られている。
台湾、日本、韓国のメーカーが部品を供給
ウォールストリート・ジャーナルの別の記事によると、アップルはすでに台湾の大手製造業者2社に新モデルの生産を依頼しており、8月にも2社の中国工場で量産が始まる見込み。
これに先立ちアップルは数多くのアジアのメーカーに部品を依頼していたという。アップルはそれら部品メーカーの名を公表していない。だがアナリストらは、これまでアイフォーンの部品を手がけたことのある台湾、日本、韓国の電子部品メーカーが引き続き新モデルの部品を供給すると見ている。
同紙によると、ある日本の政府関係者は、今年登場するアイフォーンの新モデルによって電子機器の輸出需要が5%高まる可能性があると予測している。
また6月の台湾の工業生産は1年前に比べ8.6%増加したが、これは2ケタ増となった半導体生産に支えられたという。アナリストらは、台湾メーカーによるアップルへの半導体供給が増加したためと分析している。
アップルに電子部品を供給している台湾のメーカーのうち数社は、過去最高の業績結果や業績見通しを発表しており、アイフォーンの経済効果は大きいという。「台湾経済へのアイフォーンの貢献度はますます高まっている」と話すアナリストもおり、アジア地域におけるアップルの存在は重要になっているとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。
iPhone販売台数13%増、新興国が牽引
アップルが7月22日に発表した4~6月期の決算は売上高が374億3200万ドルとなり、1年前から6%増加した。
アイフォーンに加え、パソコン「Mac」の販売が好調で、売上高は4~6月期の記録を更新した。同四半期のアイフォーンの販売台数は1年前から13%増の3520万台で、その売上高は197億5100万ドル。同社の全売上高に占めるアイフォーンの比率は52.8%となり、1年前の51.4%から拡大した。
そしてその販売増を支えているのが新興国市場だ。例えば中国におけるアイフォーンの売上高は48%増えた。またBRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)では55%増となった。
こうした新興国の需要増を背景に、今年発売されるアイフォーン6は、台湾、日本、韓国をはじめとするアジアのメーカーに恩恵をもたらし、ひいてはその国、地域の経済成長に寄与するとウォールストリート・ジャーナルは伝えている。