(米「パシフィックフォーラム CSIS」ニュースレター、2014年36A号)

By Bhubhindar Singh

 4月23~24日のオバマ大統領の日本訪問で特筆すべきなのは、尖閣諸島/釣魚島が日米安全保障第5条に従うものであるということを大統領が宣言したことであった。

 第5条は「日本の施政下にある領域」への攻撃に対して両国が行動を起こすことを言明している。オバマ大統領のこの宣言は、日米安全保障関係において重要な進展である。なぜなら、オバマ大統領が現職の大統領として初めて安全保障の対象範囲を明確にし、領土問題に関してどちらの側にもつかなかった今までのアメリカの立場に異を唱えたものとなったからである。

安倍政権の取り組みに対する見返り

 なぜ、オバマ大統領はこのような大胆な声明に踏み切ったのだろうか。これは重要な問題である。なぜなら、現在の日中関係はおそらく今までになく最悪であり、そして、この声明は、2013年6月のオバマ大統領と習近平国家主席とのカリフォルニア・サミット以来安定している米中関係を不安定にし、中国を敵に回す危険があるからである。

 オバマ大統領のこの声明は、日本との2カ国間問題においてアメリカの影響力を深めようというものである。また、東シナ海において紛争が起こった場合に日本を支援するアメリカの役割を完全に明確化することで、東シナ海に安定を取り戻そうとする計算があった。

 オバマ大統領の声明は、2010年9月に東シナ海での緊張が深刻化して以来、まさしく日本の指導者がずっと待ち望んでいたものであった。

 日本にとって日米安保体制の強化は、その防衛能力の拡張に加えて、尖閣諸島/釣魚島に関する緊張に対処するための重要な要素である。このプロセスは野田佳彦前総理の下で始められたが、同盟関係の強化への取り組みは、安倍晋三首相が政権を握ったときから大きく進展することになった。安倍首相はアメリカ海兵隊普天間航空基地の移設など、2カ国間の未解決問題を解決すべく大胆な手段を講じた。