韓国のサムスン電子会長、心筋梗塞で緊急手術

サムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長が倒れ、同グループのみならず、韓国経済界全体が騒然としている〔AFPBB News

 2014年5月10日夜、サムスングループの李健熙(イ・ゴンヒ)会長(72)が呼吸困難に陥り、急遽病院に担ぎ込まれた。心筋梗塞で応急処置を受け、そのまま入院した。「病状は回復に向かっている」というが、サムスングループと韓国の経済界は騒然とした雰囲気に包まれている。

 いきさつはこうだ。5月10日夜10時ごろ。ソウル中心部の自宅にいた李健熙会長が呼吸困難に陥った。胸の痛みも訴え、すぐに自宅近くの病院に担ぎ込まれた。病院に到着するとともに心臓麻痺も起こし、緊急治療が施された。

 その後、車で20分ほどのサムスンソウル病院に救急車で移送された。主治医の診断を受けるためだ。待ち受けていた病院長など医師団が診察した結果、心筋梗塞を起こしたとして、急遽、心臓の血管を広げるステンス治療を施した。

 呼吸器も取り付けられたという。

 幸い、こうした初期の緊急対応が功を奏して、サムスンソウル病院は11日に「容態は回復している」との説明をした。

長年くすぶってきた李健熙会長の健康問題

 「会長倒れる」の知らせにサムスングループは一時、大騒ぎになった。夫人や長女でホテル新羅の李富真(イ・ブジン)社長(43)、サムスンエバーランドの李敍顯(イ・ソヒョン)社長(40)など家族や、崔志成(チェ・チソン)未来戦略室長(副会長)などグループ幹部が続々と病院に詰め掛けた。

 長男の李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長(45)は米国出張に出かけたばかりだったが、急遽帰国して病院に直行した。

 「容態は回復している」との説明を受けて、5月12日の証券市場では、サムスン電子の株価は前週末終値近辺かそれより若干高い水準で推移し、結局、5万3000ウォン高(3.9%上昇)の138万8000ウォンでこの日の取引を終えた。

 また、この日午前中に李濬(イ・ジュン)サムスングループ未来戦略室コミュニケーションチーム長(専務)は韓国記者に対して「特段の経営上の措置はない。普段通りだ」と述べた。

 これまでも「李健熙会長の健康問題」は、サムスングループにとって最大の経営リスクとも言われてきた。李健熙会長は、1999年に肺がんが見つかり、米国の病院で治療を受けた。その後も、糖尿病や高血圧などに悩まされ、健康とはほど遠い状態だった。

 2013年の8月にも風邪をひいて肺炎になり、2週間ほど入院したことがある。