今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(5月4日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、日本での制定を目指して検討が進められている「日本版・台湾関係法」を取り上げたほか、旅客船セウォル号の沈没事故以降、韓国で相次ぐ事故やウクライナをめぐるロシアの動向などについて解説した。

「日本統治」を「日本“植民”統治」へ、教科書記述見直しの動き

台湾で双十節の記念式典、馬総統が演説で尖閣問題に言及

台湾の馬英九総統〔AFPBB News

中山 先日、私は台湾を訪れて馬英九総統や政府関係者、有識者の方々と情報交換を行う機会がありました。

 自民党には「日本・台湾経済文化交流を促進する若手議員の会」(日台若手議連)という組織があり、今、台湾との関係を強化するための法的根拠となる「日本版・台湾関係法」(仮称)の策定を目指して検討が進められています。

 私はその委員長を仰せつかり、今後は頻繁に訪台して意見交換やヒアリングを重ねながら同法案の成立に力を尽くしたいと思っています。

 台湾関係法とは、もともと台湾に対する基本政策について規定した米国の国内法です。制定から今年で35周年を迎え、先日には米国議会主催による記念セレモニーが開かれたそうです。

 我が国も米国の事例を参考にしながら、北東アジアの平和と安全、そして民主主義や市場経済の価値観を守ることに資する独自の法案を考え、それに賛同する仲間を増やすことが大切ではないでしょうか。

 また今回、台湾の関係者と会話する中で1つ心配なことがありました。台湾の政府・教育部は2月10日、高等学校の歴史教科書の新指導要綱をホームページに記載し、正式に公布しましたが、日本統治時代関連部分などの修正点が全体の63%にも及んだそうです。

 この修正を台湾政府は中華人民共和国と協議し、認めたという事実がある有識者の方からの情報で明らかになりました。

 歴史教科書の変更点には、例えば「日本統治時代」の表記を「日本“植民”統治時代」に変更したり、「大東亜共栄圏構想」を「大東亜共栄圏“侵略”構想」としているほか、慰安婦については「婦女は強制され慰安婦にさせられた」等の記述が加えられたとのこと。

 また、羅福星(ら・ふくせい)や李友邦(り・ゆうほう)といった台湾の独立運動家等の具体名を挙げて、台湾人が中華民国の建国や大陸における抗日戦争に参与した事実を追加し、中華民国と台湾がともに影響し合っていることを理解させるなど、双方の関連性を強調する記述が追記されているそうです。

 我々にこの話を教えてくれた台湾の有識者は「日本統治時代の負の面を強調した記述が増えているのが気になる」と語っていました。

 私自身、かつて中国の抗日記念館を何カ所か訪れたことがあります。その中でも、盧溝橋の近くにある記念館を訪問した時、孫文の写真が大々的に掲げられていたのを今も鮮明に覚えています。