元米国務省日本部長のケビン・メア氏をゲストに迎えた今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(4月20日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。尖閣諸島をめぐり対立の深まる日中関係を取り上げたほか、集団的自衛権の行使容認をめぐる議論などについて語った。

中国の反日抗議デモで掲げられた「琉球奪還」のスローガン

中山 今回は元米国務省日本部長のケビン・メアさんにお話を伺います。まずは、日中関係から。「尖閣諸島に領土問題は存在しない」というのが日本政府の公式見解ですが、今の日中関係をどうご覧になっていますか。

メア 日中間に存在しているのは、抽象的ではなく具体的に顕在化した問題です。特に、沖縄県の尖閣諸島周辺では武装した中国の公船が毎日のように航行しており、無視できない状況が続いています。

 米国政府は、尖閣諸島の領有権に関してあくまで中立の立場を取っています。ただ、はっきりしているのは尖閣諸島が日米安全保障条約の適用対象であること。なぜなら同条約の第5条では、日本国の施政下にある領域で武力攻撃が発生した場合、共通の危険に対処するよう行動することが定められているからです。

ケビン・メア氏(ウィキペディアより)

 中国は「新型大国関係」を提起し、太平洋の東側を米国、西側を中国が管理しようと主張していますが、米国は中国がこのように地域の現状を変更しようとしているのを認めません。

 ただ、尖閣はあくまで日本の問題であり、第一責任は日本にあります。米国には日本を防衛する義務と覚悟がありますが、日本も独自の抑止・防衛能力を向上させる必要がある。

 また、「尖閣諸島は日本固有の領土であり、議論の余地はない」という日本政府の公式見解は正しいと思います。そして、中国が万一日本を攻撃したり威嚇しようとしたら、日米は協力して領土や国益を守る覚悟があるのだと示すことが重要ではないでしょうか。

 日米は今後、中国の脅威に対処するためにも強固な同盟の枠組みの下で抑止力を強化すべきです。その意味からも、安倍政権のここ1年間の取り組みは評価に値すると思います。

中山 中国は昨年、尖閣諸島上空を含む東シナ海の広い範囲に防空識別圏(ADIZ)を一方的に設定しました。中国には沖縄を手中に収めようという思惑があると見て取れますが、これについてはいかがですか。

メア 中国は明らかに沖縄そして琉球諸島を狙っています。というのは、2010年9月に尖閣諸島中国漁船衝突事件が起きた時、中国各地で抗議デモが発生しましたが、参加者が掲げた横断幕に「琉球奪還」という言葉が書かれていたんです。