毎年恒例の北東アジアを回る出張から戻ってきた。この出張は私が教鞭を執るアメリカ空軍戦争大学の地域学の授業の一環として春に行われるもので、修士号の学生ほぼ全員が世界各地の地域を訪問する、大規模かつ重要なプログラムである。普段用いる文献で学んだ後、現実の世界でそれを検証する実践の機会でもある。

 私は昨年に続いて2週間の間、ほかの教員らと共に20人近くのアメリカの学生を日本、台湾、韓国に引率した。現地のアメリカ大使館、相手国の防衛・外交機関と会議を通して交流を深めるのと同時に、経済・歴史・文化施設などを視察した。結果として学ぶことの多い、実に有益な出張だった。

 今回はこの出張で我々が経験したことを書きたいと思う。

 まずは輸送手段。民間機を使う場合もあるが、時と目的地により軍用機を使うこともある。今回我々が使ったのは前回同様のKC135輸送機。

 下の写真を見ると分かるように乗客用の窓がほとんどない。私が唯一の民間人だと知ると輸送機の乗組員は気を利かせてくれ、必ずと言っていいほどブームオペレーターが仕事をする、機内後部の空中給油をする部分に連れていってどのように給油を行うのか説明してくれる。

 そこで実際に窓を開け給油時に使うレバーなどを見せてくれる。さらに頼めば輸送機のコックピットにも実際に座らせ、ヘッドホンを使ってパイロットが現地の管制塔と行う交信も聞かせてくれるため、普段はこの種の関わりが限られる民間人にとっては極めて有益な機会である。 

写真はハワイのヒッカム空軍基地に停泊するKC135輸送機(写真提供:筆者、以下同)

 その輸送機で最初の目的地であるハワイに到着。そこで我々は太平洋司令やホノルルの研究機関でブリーフィングを受けた。この段階で重要なのは、アジア諸国を訪れる前に太平洋地域全体の戦略的なビジョンを得ることができる点であり、ここ数年アメリカが行っているアジア地域への回帰を裏付ける大切な議論をすることができた。