いささか早い話ではあるが、米国ではすでに2016年大統領選挙の候補の名前が何人も挙がっている。
挙がっていると言っても、まだ誰一人として正式に出馬を表明していない。米大統領戦は選挙期間を設けていないので、2年後の11月に行われる選挙に向けて「今日、立候補します」と宣言することもできる。
民主党ヒラリー、共和党ブッシュの戦いに
それだけに、メディアだけでなく米国民は出馬しそうな候補に関心を寄せる。そして今、2人の大物にスポットライトが当たっている。民主党のヒラリー・クリントン前国務長官(66)と共和党ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事(61)だ。
ヒラリー夫人については今さら説明はいらないだろう。クリントン大統領のファーストレディーとして8年間、ホワイトハウスで過ごし、2000年には上院議員に当選した。
間近で夫の仕事ぶりを見て、「私にもできる」と呟いたという逸話が残っており、大統領への野心を抱いて2008年に大統領戦に出馬。バラク・オバマ大統領と予備選後半まで熾烈なレースを展開したが敗北している。政権誕生後は国務長官として80回近い外遊をこなし、2013年に退任した。
筆者はヒラリー夫人が国務長官を辞めた後、公職に戻ることはないと踏んでいた。事実、2012年末にABCテレビのインタビューで、「長期に及ぶ大統領選をもう1度やるなんて想像できません」と答えている。
その後、自身の態度をいくらか軟化させた。「周囲の人が推してくれています。今は分かりませんが・・・。私のことだから・・・」という微妙な言い回しに変わった。現在は全面的な否定から出馬の余地を残す発言に移っている。
大統領選への出馬にまったく興味を抱かない人であれば、最初から否定し続けるはずだが、そうではない。今は十分に出馬の可能性はあると読む。
一方の共和党からはジェブ・ブッシュ氏の名前が取り沙汰されている。父は第41代大統領のジョージ・H・W・ブッシュ氏で、兄が第43代ジョージ・W・ブッシュというサラブレッドだ。ジェブ氏は2007年までフロリダ州知事を務めていた。
日本ではあまり馴染みがないが、知事時代は共和党員でありながら移民政策では穏健な政策をとってヒスパニック系住民からの支持も増やした。同州経済を立て直し、環境政策や教育向上にも力を注いで最後まで高い支持率を保った。