総選挙の年を迎え、スウェーデン国内では各政党および政治団体の動きが活発化している。
現在非常に懸念されているのは、極右、スウェーデンでは通常「ネオナチ」とされている極端な政治思想を持つ集団が、これまでの花火やガラス瓶、こん棒に加えて最近はナイフなどの武器を所持し、文字通り殺意を持って反ファシストの動きを攻撃し、流血のバトルを繰り広げ始めたことだ。
スウェーデンではこの数週間、極右集団の若者らによる事件が相次いだ。
3月8日、「国際婦人デー」に合わせて行われたフェミニストおよび反ファシスト活動家によるデモが右翼過激派に襲われ、何人もの若者が刺されるという事件が起きた。そのうちの1人、25歳の若者は致死的な重傷を負い、一時は生死が危ぶまれた。
ナイフを所持しこの若者を刺殺しようとした30歳の男性は、殺人未遂の容疑で指名手配されているが、国外へ逃れたと見られている。スウェーデン警察はインターポール(国際刑事警察機構)にも協力を要請し、男の行方を追っている。この容疑者はネオナチグループであるスウェーデン人党(Svenskarnas党)の活発なメンバーとされている。この他に警察が逮捕した3人は全員20代で、すべて殺人未遂の疑いがかけられた。
彼の他にも、スウェーデン抵抗運動(SMR)のメンバーら、10代も含む多くの若者が拘束された。
3月25日にはストックホルムの地方裁判所で判決が下った。ネオナチ運動のストックホルム地域のリーダーと見なされる男は、暴動扇動罪で有罪とされ、8カ月間投獄されることになった。他にも、武器不法所持や暴動・暴行罪などで社会奉仕労働や少年院への収監などが言い渡されている。
判決文で、主任裁判官のクラウディア・ヴァダツィ氏は「この人々のグループが最初にデモ参加者を攻撃したことは明らかにされている」「彼らは広場に到着するとすぐに活動を開始しボトルを投げ始めた」と述べている。
つまりこの集団は、当初からデモを撹乱し、参加者を殺傷する明確な意図を持って現場へ向かったということだろう。
差別反対運動に対する「殺意を持った攻撃」
3月8日に刺された25歳のショーワン・シャターク氏は、「ホモフォビアに反対するフットボール(サッカー)サポーターズ」、つまり「サッカーカルチャーにおける同性愛者に対する差別に反対する運動」の活動家として知られていたようだ。
彼への支援と回復を祈る声は、ソーシャルメディア上で野火のように広がっている。書き込みから少々抜粋すると、「我々のスタンドは交流の場で、曇りのない心をした人すべてを歓迎します。私たちは、スタンドでもこの町でも、レイシズムやナチズムは決して受け入れません。ショーワンと彼の家族のことを思ってください。ショーワンへ愛を送ろう、がんばれ!」などの言葉が見られる。
またこの翌日と翌々日には、この暴力に抗議する集会とデモが全国で巻き起こった。