東日本大震災から3年ということで、メディアは集中豪雨的に被災地の今を取り上げた。新聞の読者やテレビの視聴者にすれば、食傷気味だったはずだが、メディアにすれば、それも計算のうちだったのではないか。これだけやればもういいだろう、ほら、読者や視聴者の食い付きも悪かった、という震災報道からの逃避を正当化する儀式だったように思えるからだ。

 被災地は、どこまで復興したのだろうか。復興庁が2014年1月にまとめた「復興の現状」のなかに、グループ補助金を交付した企業へのアンケート結果が図示されている。それによると、2013年6月時点で、震災直前の水準以上に売り上げが回復したと回答した企業は、全体では36.6%になっている。

グループ補助金交付先アンケート調査(業種ごとに上から2012年2月、同年9月、2013年6月の調査結果)。水産・食品加工業の回復の遅れが目立つ。2013年6月時点で、震災直前の水準以上に売り上げが回復したと回答した企業は14%(赤枠内の「5.2+8.8」%)しかない。
(資料:東北経済産業局調査を元に復興庁作成)
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 グループ補助金は、被災した企業の施設や設備の復旧・整備に対して75%を上限とした公的な支援(国50%、県25%)を行うもので、震災で生産ができなくなった企業も多かったので、約3分の1が売り上げを元に戻したというのは、まずまずの復興ぶりかもしれない。現時点では、もっといい数字になっているはずだ。

 しかし、業種別に見ると、建設業(66.0%)や運送業(42.3%)などの回復が高い比率を示しているのに対して、水産・食品加工業(14.0%)の回復が低いのが目立つ。

 建設業の回復が目覚ましいのは、道路や防潮堤などの公共事業だけでなく、民間の工場や住宅の建設需要も多いので、当然と言えそうだが、水産・食品加工業は被災の度合いが激しかった沿岸地域に盛んな産業であるだけに、この分野での回復がほかの産業に比べて著しく遅れているのは、復興に暗い影を投げかけている。