ロシアのソチで行われた冬季オリンピック開会式に、アメリカのオバマ大統領、フランスのオランド大統領、イギリスのキャメロン首相、ドイツのメルケル首相など、G8首脳クラスが相次いで欠席した。
理由は、2013年6月、ロシアで制定された「同性愛宣伝禁止法」だ。この法律では、未成年者に対し、同性愛への興味を持たせる言動や宣伝行為を禁じ、違反した場合には、罰金刑などを科すことができると定められている。これに反発したためだ。
そんな中で日本の安倍晋三首相は、開会式に参加し、翌日にはプーチン大統領と通算5回目の首脳会談を行った。
G8首脳の多くが欠席する中で安倍首相が出席を決断したのは、これまで築いてきたプーチン大統領との信頼関係を損ないたくないという思いとともに、北方領土問題の解決に道筋をつけたいという強い思いがあったからであろう。
プーチン大統領もこれを高く評価し、大統領公邸に安倍首相を招き、2013年に秋田県知事から贈られた秋田犬とともに迎える歓迎ぶりであった。
人権問題も重要ではあるが、だからと言って日ロ間の領土問題交渉を手控える必要はない。安倍首相は当然の決断をしたまでである。
安倍首相の決意は本物
安倍首相がソチに向けて出発するその日に、都内で北方領土返還要求全国大会が行われた。その挨拶で安倍首相は、「私は、日ロ関係全体の発展を図りつつ、日露間に残された最大の懸案である北方領土問題を最終的に解決し、ロシアとの間で平和条約を締結すべく、交渉に粘り強く取り組んでまいる決意であります」と述べた。