今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(3月2日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)では、中国の日本批判キャンペーンへの対応を取り上げたほか、中国・雲南省の昆明駅で発生した無差別殺傷事件や、北朝鮮による日本人拉致問題などについて解説した。

「ジャパンバッシング」の国際世論を情報戦で形成した中国

中山 ウクライナでは、南部のクリミアなどで緊迫した状態が続いています。ウクライナのハルチェンコ駐日大使は「(ロシアの軍事介入は)国際秩序への大きな挑戦だ」と述べ、外交手段で危機の回避を目指すものの、最悪の場合、ロシア軍とウクライナ軍が衝突する可能性を指摘し、ロシアに自制を求めています。

 一方、米国を中心とする北大西洋条約機構(NATO)は2日、加盟28カ国の大使級による緊急理事会とウクライナ代表との会合を開催。しかしNATOによる軍事介入は、西欧諸国を主導する米国とロシアの直接衝突につながりかねず、実行に移すのは困難とみられています。

 また、国防予算の削減など、国際社会における米国の軍事的「重し」が軽くなったことがロシアの影響力を相対的に高めたとも指摘されており、今後の米国の対応次第では、同国の指導力にさらなる疑問符がつくのは避けられないと報じられています。

 そうはいっても米国中心の軍事バランスが変わったわけではなく、例えば太平洋でも第7艦隊が依然として強い力を持っています。ただ、米国の外交力はシリアへの対応をめぐり、世界的にネガティブな評価を受けました。

ハルビンに安重根記念館が開館、日本は抗議

1月に中国・ハルビンに開館した安重根の記念館。日本政府は抗議を表明している〔AFPBB News

 私が思うに、キーワードは「情報戦」です。

 日本も、いわゆる従軍慰安婦問題でカリフォルニア州グレンデール市に慰安婦像が設置されたり、伊藤博文を暗殺した韓国の独立運動家・安重根の記念館が中国のハルビンに開館するなど、情報戦によって「ジャパンバッシング(日本叩き)」の国際世論を形成されつつあります。

 同じく米国、もっと言えば、冷戦時代の旧西側諸国が揃って情報戦に負けているという見方ができるのではないでしょうか。

 特に中国は、戦後70年が経とうとする今も20世紀の問題を蒸し返そうとしている。戦争を喜ぶ人間はいないし、悲惨な経験を二度と繰り返してはならないのは当然のこととして、仕掛けられた情報戦に日米をはじめとする西側諸国は、勝つための努力をすべきです。