子どもがいる人生は楽しい?「そうとも限らない」研究

子どもがいる人生は楽しいとは限らないという、米ギャロップ社の調査に基づく研究結果も〔AFPBB News〕

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 しかも周りを見回すと、子育てをしながら仕事を続けている女性が、いかに超人的な生活を強いられているかが目に飛び込んでくる。子供を産む選択はどうしても得なようには思えない。

 あんな苦労をするよりは、子育てのストレスなど抱えこまず、ダブルインカムで生活をエンジョイする方がよさそうだと、多くのカップルが考えても無理はない。

 おそらく多くの女性はこういう思考をたどって、子供は生まれなくなっているのであろう。

フランスで子供を産む女性が増えた理由

 そのため、合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産むとされる子供の数。以下、出生率)の落ち込んだ各国では、いろいろな対策を取っている。例えばドイツでは、子育てに対する経済的な支援が大きい。子供を産むのに一銭も掛からない。出産前の検診から、出産後のケア、18歳までの子供の医療費は無料だし、教育にもお金はかからない。

 そのうえ、子供手当やら育児金やら、いろいろな補助がある。しかし、なぜか子供は生まれない。出生率1.4人あたりを低迷しているところは、日本とほぼ同じだ。

 日本も少子化に対しては、かなりの対策を取っているが、経済的な援助はドイツほどではない。それに、労働時間は長いし、休暇は取りにくい。また、子供を産み育てるのに、かなりお金が掛かる。

 それでもドイツと同じ出生率を保っているのは、喜ばしいことなのかどうか分からないが、しかし、ドイツも日本もこのままで行くと、老人が増えすぎて、国が立ち行かないことは確かだ。

 それに比べて、フランスは出生率がほぼ2人で、日独に比べると大きな差がついている。

 1990年代、フランスの出生率も一度、1.7人ぐらいまで落ち込んでいる。その後、どのようにして少子化解消の足場を作ったのかが、とても興味深いところだが、それに関してのジョリヴェ教授の話がとても面白かった。一言でいえば、フランスは、伝統的な家族観を捨ててしまったらしい。

 伝統的な家族制度は男社会を基盤にするものなので、女が働きながら子供を産み育てるには不利だ。また、経済成長を目標としたハードな労働形態も、子持ちの女性を締め出してしまう。

 つまり、働きながら子育てをする女性を支援するためには、伝統的な家族制度を壊すことを恐れず、同時に、法制を女性支援シフトに変えていかなければならない。それを積極的に行ったのがフランスだ。