週刊NY生活 2013年11月23日468号

 グーグルが行っている図書館書籍の電子化は著作権の侵害だとして作家らが訴えていた裁判で、ニューヨークの連邦巡回裁判所(地裁)のデニー・チン判事は14日、グーグルの行為は米国著作権法107条の規定するいわゆる「フェアユース(公正な利用)」に該当し、著作権の侵害にあたらず合法であるとする決定を下した。

 判決によれば、グーグルの電子書籍「グーグルブックス」は全文から検索された一部分のみ(著作権切れのものは全文)を表示するものであり、著作物の市場を侵害し著作者の収入を奪うことになっていない。むしろ研究者らの助けとなっており新たな読者を獲得する可能性もあるなど社会的に大いに役立っていると指摘、研究や報道などの目的で著作物の利用を認めた「公正な利用」にあたると判断した。

 古くなり破損する書籍を保護しているほか、視覚障害者の書籍アクセスを助けていることも指摘した。

 グーグルが2004年に開始した書籍電子化を巡っては、出版社と作家側が2005年に著作権侵害で提訴。一度は和解し英語圏に限るとしたが、2011年に裁判所が和解案を認めないとの決定を出すなど紆余曲折。出版社側は昨年、グーグルと和解したが、作家側とは裁判が続いていた。

 グーグルはすでに2000万点を超える書籍を電子化しオンライン上の検索サービスに利用している。検索された書籍はネット販売サイトが表示される。

 グーグルは「買いたい本や借りたい本を見つけることに寄与しているという私たちの主張が認められた」と判決を歓迎する声明を発表。原告のオーサーズ・ギルド(著作者連合)は控訴を表明している。

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