これほどの欺瞞があるだろうか。
シリア政府は過去、何度となく化学兵器の使用と保有を否定してきた。
化学兵器を持っていないと言い張っていたはずだが・・・
今月6日、日本外国特派員協会の会見に現れたシリアのワリフ・ハラビ駐日代理大使にその点を質した。
「自国民に対して化学兵器を使っていないと、神に誓って言えるか」
同代理大使は微笑を浮かべてはっきりと次のように答えた。
「神に誓って言えます。化学兵器は使っていません」
「化学兵器の備蓄があると思う。ロシアから持ち込まれているはずだ」
「そんな事実は一切ありません」
だが9日、それが虚言であることが分かる。シリアのイターム・ムアレム外相がモスクワでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談。シリア政府として初めて、化学兵器の保持・備蓄を認めたのだ。12日にはバッシャール・アル=アサド大統領もこの事実を追認した。
さらにシリア政府はロシア側の提案で、化学兵器を国際管理下に置くことに同意。14日にはジョン・ケリー米国務長官とラブロフ外相がシリアの化学兵器の廃棄に向けた枠組みで合意した。
これで米国の軍事攻撃は一時的に回避されたが、これまで築き上げてきたシリア政府要人たちの言説は一瞬にして論拠を失った。
米国も過去何度となく、さまざまな場面で大統領や政府高官が虚言を述べてきてはいる。しかし化学兵器の全面否定から認知へと180度の方向転換を見せる数日前に、よくも「神に誓って言えます」と言えたものである。