NPO法人「空援隊」理事でジャーナリストの倉田 宇山(うさん)氏をゲストに迎えた今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)。旧日本軍の未帰還兵捜索に携わる倉田氏が、フィリピンでの遺骨収容の実際や課題などについて語った。
なぜ遺骨を放置するのか? 言い返せなかったフィリピン人からの問い
中山 今回は、NPO法人「空援隊」理事でジャーナリストの倉田宇山さんにお話を伺います。
今年で終戦から68年を迎えますが、今も世界には数多くの戦没者が葬られることなく放置されているのが現状です。倉田さんは未帰還兵の捜索活動を8年以上続けておられるそうですが、きっかけは何だったのですか。
倉田 もともと私はジャーナリストとしてカメラ片手に世界各地を旅していましたが、フィリピンを訪れた時に偶然、戦没者の遺骨を発見したのです。それを撮影し、現地の大使館や日本人会、遺族会などに見せながら状況を説明したところ、誰も聞く耳を持ってくれませんでした。そんなものあるはずがない、と。
しかし、私の写真は決して捏造ではないし、戦没者たちをこのまま放置するわけにはいかないと強く思い、遺骨収容を行うNPO法人「空援隊」を設立したのです。
フィリピンは洞窟が多く、中を調査すると実にたくさんの遺骨が見つかりました。ある洞窟では足の踏み場もないほどに遺骨が散乱しており、まさに驚きの連続でしたね。
同国での戦没者は51万8000人に上りますが、そのうち未帰還兵はおよそ38万人いると言われ、国ごとの数で見ると最も多いのです。当時、日本領だった台湾などから出兵した戦没者を含めるとそれ以上かもしれません。
何よりも私が辛かったのは、フィリピン人から言われた言葉です。
「日本には政府開発援助(ODA)で港や空港などを造ってもらい、非常に感謝している。でも、そんな裕福な日本人がなぜフィリピンにある遺骨を持って帰らないのですか」
「フィリピン人はキリスト教徒が多く、どんなに貧しくても最低限お墓は持っています。なぜ日本人は亡くなった方を放置するのですか」
こう言われて返す言葉がなかったし、自分はジャーナリストとして生きてきてこんなことも知らなかったのかと、怒りが込み上げてきました。