今回は少し視点を変えて、NPOとお金の話です。

 NPOはボランティアの力が大きな活動の原動力になっています。ただし、そのボランティアを集め、活動していくには専従のスタッフが必要で、加えて経費も発生します。

 ボランティアの活動が実り多きものになるのは、専従スタッフの高いスキルがあるからこそです。私がニューヨークで働いている Make the Road New York(MRNY)には、コミュニティーオーガナイザー、弁護士、職業訓練コーディネーター、事務といった専従スタッフがいます。

日本とは桁が違う助成財団の数と助成額

 NPOというと、ほぼボランティアで食べていけないというイメージがあるかと思います。市民活動が盛んなアメリカでもNPOの給料は一般企業と比べたら確かに低いのですが、「食べていけない」程ではありません。

 大卒のコミュニティーオーガナイザーの年俸は350万円から400万円程度と言われています。経験を積んでいけば給料は少しずつ上がり、1000万円くらいになる人もいます(ただし、こういうポジションが多いとは言えません)。

 では、そのお金はどこからどうやって得ているのか? これはNPOによってだいぶ異なりますが、MRNYの場合は助成金と寄付です。

 2011年は約8億円の収入があり、その殆どが助成金と寄付でした。また寄付よりも助成金が圧倒的な比率を占めます。助成金はフォード財団、ロックフェラー財団といった名だたるところから、中小のコミュニティー財団まで幅広く取得しています。

 また英語教育や高校卒業資格取得支援をしているため、ニューヨーク市からも助成を受けています。NPOによってはサービスや商品を販売することで収益を上げているところも多くあると思います。

 私は、Center for Popular Democracy(CPD)というMRNYの姉妹組織でもファンドレイズ(資金調達)を手伝っていました。ファンドレイズ選任スタッフのベンジャミンと一緒に、申請できる助成金探し、助成金申請書類の作成、ファンドレイズイベントの企画を行いました。

 まず助成金探しをして驚いたのが、日本の財団とは助成額の桁が違うことでした。もちろん10万円、50万円といった小口の助成金もあるのですが、普通に1口1000万円以上の助成金があり、2000万円、3000万円といった助成金をもらうことも珍しくはありません。