6月26日、日米共同統合訓練「ドーンブリッツ」が終了した。この訓練は平成25(2013)年6月10日(月)~6月26日(水)の間、米国カリフォルニア州キャンプ・ペンデルトンおよびサンクレメンテ島ならびに周辺海・空域にて実施されたものである。

 訓練の狙いは「島嶼侵攻対処に係る自衛隊の統合運用要領及び米軍との共同対処要領を演練し、その能力の維持・向上を図る」ことを目的にしたものであり、ヘリコプターや揚陸艇を使った上陸作戦が公開された。

ドーンブリッツ、2つの特筆すべき意義

「空母3隻は必要」、中国軍少将

ドーンブリッツに参加した護衛艦「ひゅうが」(写真は相模湾での訓練)〔AFPBB News

 マスメディアは護衛艦「ひゅうが」への米海兵隊オスプレイの初着艦、および強襲上陸訓練のみを派手に報道したが、これ以外に対機雷戦、潜水作業訓練、実弾射撃訓練、死傷者救援後送訓練なども実施されている。

 この訓練には2つの特筆すべき点があった。

 まず「ドーンブリッツ」は、これまで米軍単独訓練として実施されてきたものであるが、今回自衛隊が始めて参加したこと。しかも陸海空3自衛隊による統合実働訓練を初めて国外で実施したことが挙げられる。

 2つ目はこの訓練が尖閣諸島など離島が占拠された場面を想定した訓練であり、中国政府が激しく反発し、中止を申し入れていたにもかかわらず、予定通り実施されたことである。

 訓練に当たっては、尖閣諸島問題で日中関係が悪化した状況でもあり、日米島嶼奪還訓練はさらなる関係悪化を招くとして、実施に難色を示す関係者もいた。しかしながら、日本政府は日米関係を重視するとともに、訓練の重要性に鑑み、計画通り実施することを決めた。

 小野寺五典防衛大臣は4日の記者会見で「訓練は日米同盟に必要だ」「特定の第三国を念頭に置いた訓練ではない」と強調した。だが尖閣諸島を念頭に置いた日米共同訓練であることは明らかであった。この時期に島嶼奪還に係る一連の行動を日米で演練した意味は極めて大きい。

 報道によると、演習直前に行われたカリフォルニア州での米中首脳会談で、習近平中国国家主席はバラク・オバマ米国大統領に対し、この訓練が中国を仮想敵国としていると反発したという。首脳会談前にも中国政府は外交ルートを通じ、訓練の中止を求めていた。

 結果的には、米中首脳会談直後に、予定通り「ドーンブリッツ」を実施することになった。尖閣諸島を巡る問題には、日米安保第5条が適用されるとの米国の強い意向が、対中メッセージとして伝わったことは間違いあるまい。