「思慮深く、献身的な少数の市民が世界を変えられることを疑う余地は全くない。まさにそれが今まで起こってきたことなのだ」――マーガレット・ミード

 "Never doubt that a small group of thoughtful, committed citizens can change the world; indeed, it's the only thing that ever has." ――Margaret Mead

 この言葉に出合ったのは、ニューヨーク・マンハッタンにある起業家たちにスペースを貸すインキュベーションオフィスの壁画でした。

 世界を変えるには大きな波を作り出すことが必要ですが、その波は最初から多くの人で作られるのではなく、最初は数人の、世の中に問題意識を持ち、何とかしなければと思う人たちから始まるのです。カギはその数人がいかに仲間を増やし、大きな波――うねり――を作り出せるか。

オバマ大統領の選挙アドバイザーを務めたガンツ教授のワークショップ

 以前の連載『今行動しなかったら、いつするのか』で紹介したマーシャル・ガンツ先生は、少人数で始めた活動を多くの人々と共にする活動に広げ、変化をもたらすコミュニティーオーガナイズの手法をハーバード・ケネディ・スクールで教えています。

ラティーノ・リーダーシップ・イニシアティブの参加者たち(写真提供:筆者、以下同)

 ガンツ先生はまた、ケネディ・スクールだけでなく、様々なNPOや大学、リーダーシップ・イニシアティブに招かれてコミュニティーオーガナイズを教えています。私は6月9日から11日にボストンで行われた、ガンツ先生が教えるラティーノ・リーダーシップ・イニシアティブに参加してきました。

 ラティーノ(中南米諸国からの米国への移民)は今後40年間でその人口が倍増し、2050年には全米人口の約30%を占めるに至ると予測されています。しかし、ラティーノたちは、低収入とそれによる家庭の崩壊、子供の教育機会の逸失といった課題に直面しています。

 このためラティーノから優れた次世代リーダーを育てるために、ハーバード・ケネディ・スクールでラティーノ・リーダーシップ・イニシアティブが2010年に立ち上がりました。

 全米8つの大学から成績、小論文、面接で選り抜かれた大学4年生になったばかりのラティーノたちがハーバードに1週間缶詰めでリーダーシップについて学ぶのですが、ガンツ先生は2日半を使ってコミュニティーオーガナイズをみっちり教えます。