鳩山由紀夫前首相の辞任を受けて菅直人政権が発足したものの、予算委員会も開かれずに国会は閉会した。そして、このまま参議院選挙戦に突入することになった。有権者の多くは菅政権がどういった国の舵取りを目指すのか見極められず、投票するのに正直戸惑っているのではないだろうか。
支持率の高いうちに選挙で勝てば、あとは何でもあり
あえて議論は避け、情報も開示せず、ボロが出ないうちに新政権発足の御祝儀相場である高支持率を維持したまま選挙に突入しようと閉会を画策したのであれば、民主主義を公然と冒涜するものである。
木漏れ日のように漏れてくる僅かな情報の中に、安全保障上、極めて憂慮せざるを得ない問題が潜んでおり懸念を深くする。その最たるものが、永住外国人への地方参政権付与に関する新政権のスタンスである。
6月15日の参議院本会議において、永住外国人への地方参政権付与について菅総理は次のように答弁した。
「(実現を目指す民主党の)姿勢に変更はない。しかし、この問題は様々な意見があり、各党でしっかり議論してもらうことが必要だ」。一見慎重さを前面に打ち出したように見えるが、玉虫色ではっきりしない。
ところが17日、仙谷由人官房長官は記者会見で、選択的夫婦別姓制度を導入するための民法改正と、永住外国人への地方参政権(選挙権)付与法案について「民主党としてはなるべく早く実現させたいという立場だ。菅内閣も基本的にはそういう考え方だ」と述べ、早期成立を目指す考えを示した。
地方の参政権だから問題ないという大ウソ
もしこれが民主党がまとっている鎧から垣間見える本音であれば看過できない。
永住外国人への地方参政権付与は安全保障上、極めて問題が多い。現在、日本の永住外国人は91万人。うち特別永住者と呼ばれる在日韓国・朝鮮人が42万人、一般永住者である中国人が14万人。毎年約1万人ずつ増加している。
また外国人登録をしている外国人は200万人いる。これも毎年約5万人ずつ増えている。最も多いのは中国人で66万人。これらの外国人に地方参政権を与えようとするのが、この法案である。
国政ではなく地方参政権だから問題ないと賛成派は主張する。これが大きな間違いであることは、今年(2010年)1月に実施された名護市長選を見れば分かる。