異例の米中首脳会談が6月7、8の両日、米国カリフォルニア州で開かれた。

 異例なのはまず両首脳の会談時間の長さである。会談は2日にわたり合計10時間近くも行われた。そもそも2カ国の最高首脳が2日にわたって会談をすることが普通ではない。

 米国のバラク・オバマ大統領は中国の習近平国家主席と、カリフォルニアのゴルフ名所のパームスプリングス地区で極めてくつろいだ形で会談した。ネクタイを外した軽装の両首脳が単に会談だけでなく、通訳だけを同行させて屋外を50分も歩きながら話をするという、これまた異例の会合ともなった。

オバマ大統領は尖閣問題で中国に配慮

 さてこの米中首脳会談で強調されたのは米中両国の協力関係だった。特に北朝鮮の核兵器開発の阻止では米中両大国の共同歩調がうたわれた。

 米側が中国軍の工作だとして非難するサイバー攻撃でも、オバマ大統領は中国を正面から糾弾することはしなかった。国際問題一般や、アジアの案件でも米中両国が最大限に力を合わせて解決にあたることが合意された。米中両国が一気に仲のよいパートナー同士になってしまったかの印象さえ投射した。

 一方、日本にとって重大な意味を持つ尖閣問題については、オバマ大統領は日本の同盟相手であることを想起させる言葉をまったく発しなかった。中国と日本を同列に置き、両方に均等にいまの摩擦をエスカレートさせないようアピールするというふうなのだ。「行動よりも会話を」という呼びかけも、中国にのみ発せられるべきなのに、日中両国に向けて発信された。

 そしてなによりも「尖閣諸島は日米安保条約の日米共同防衛の対象に入る」という最も重要なポイントを、習主席に向かって一言も述べないまま終わったのである。

首脳会談のトップ議題とされていた「サイバー攻撃」問題

 さて当の米国ではこの異例ずくめの米中首脳会談をどう見るのか。

 もちろん一口に米国と言ってもその構成は多種多様である。どこの誰の反応を見るかで、首脳会談を見るプリズム全体が大きく変わってくる。ここではまず、アジア情勢を継続して追っている元CIA(中央情報局)の専門家たちの見解を紹介しよう。