日本では株価の急回復とともにすっかり忘れ去られた感のあるキプロスだが、各種報道によれば国内経済はその混迷の度合いを一段と強めている。4月27日付の英エコノミスト誌で報じられた地元コンサル会社の推計によれば、2013年の国内総生産(GDP)成長率はマイナス15%、さらに2014年もマイナス15%の景気後退が続くという。

 筆者は4月14~15日の2日間、キプロスのリマソルで開催された Global Russia Business Meeting(GRBM)に出席する機会があり、ちょうど2年ぶりにキプロスを訪れる機会があったので、その様子をリポートしたい。

プールやビーチはロシア人でいっぱい

リマソル市内 週末夜のレストラン、客は筆者のグループのみ

 リマソルはキプロス第2の都市でキプロス島の南側、地中海に面した港町・商業都市である。 港に続く海岸線はキプロス最大のリゾートエリアで高級ホテルが立ち並んでいる。

 特にロシア人には人気の高いエリアで、街中にはロシア語の看板が立ち並んでいる。

 今回のGRBMの会場となった Four Seasons ホテル(世界的な高級ホテルチェーンのフォーシーズンズ ホテルズ&リゾートとは無関係)も金融危機前は客の8割がロシア人とのことであった。

 この時は金融危機後でかつロシアの連休前でもあり、閑古鳥が鳴いているかと思いきや、それでもプールサイドやビーチはロシア人でそこそこ賑わっていた。

リマソル市内のショーウインドウには裸のマネキン

 この時期にキプロスでロシアビジネスフォーラムというのも何とも酔狂な話であるが、会議の開催自体は1年前から決まっており、筆者も1年前からパネルへの参加を誘われていた。

 何よりも筆者の投資先のロシア企業もキプロス親会社の会社が多いので、現地調査にはいい機会と判断しモスクワから3時間のフライトに乗った。果たして週末のキプロス行きの便はロシア人観光客で満席であった。

 ところで、このGRBMはスイスのホラシス(Horasis)という国際組織が主催したコンファレンスで、今回はロシアとキプロスを中心に30カ国、300人以上の政府関係者、ビジネスパーソンが集まり、2日間にわたって各テーマに分かれて議論を行った。

 ホラシス会長のフランク・ユルゲン・リヒター(Frank Jurgen Richter)氏は、前職はワールド・エコノミック・フォーラム(ダボス会議)のディレクター、かつて慶応義塾大学で国際政治学を修めた知日派でもある。