北米報知 2013年5月2日19号

 高級日本料亭でも家族で囲む食卓でも、あの割りばしを割る音が響けば食事の始まりだ。割り方はさまざまで、口に加えながらはしを割る者もいれば、丁寧に袋から取り出し手で割るものもいる。キャンプファイヤーの火を起こすようにはしをこすり合わす仕草もある。

 だが最終的に使い捨て割りばしの行く末はごみ箱となる。毎年800億以上もの割りばしが1回の使用のみで処理される。

 中国営林局の2009年の統計によると、2004年から2009年にかけての年間割りばし生産量は570億膳という。また今年3月に報告された統計では、中国の生産量は800億膳に達したとされる。

中国産が98%

 中国では樹齢20年の木を2000万本採伐する必要があり、フットボール競技場に敷き詰めて、さらに90層になる量という。消費制限を実施しない限り減ることはなく、中国の森林枯渇につながるとの報告もある。

 割りばしの77%は輸出され、半分が日本、約2割が韓国、米国へ2%とされる。日本において、コンビニエンスストアなどで使い捨て割りばしは日常的に見ることができる。使用量は年間約250億膳、1人あたり年間約200膳となる。98%は中国産で約1%が工業木材から生産されるという。

 ニューヨークタイムズ紙は環境団体グリーンピースへの取材を通じ、割りばしの製造管理不足や工程において健康面や生態系に危険を及ぼす化学物質が使用されていると指摘する。

 こうした懸念を受け、近年は自分専用のはしを持ち運ぶことがブームとなっている。一人ひとり違った色やデザインを楽しむ事ができ、光沢のあるものから小ぶりでピンク色のはしとさまざまだ。ビジネス関係者から女子学生と幅広い層に受け入れられている。

 新しいテクノロジーや製品は次々と日常の生活を変えていく。今の消費社会の中ではいつも近道が求められ、いまやソファーに座り、何でも手に入れる生活を手にすることができた。

 だが日々の利便性は私たちの健康だけでなく環境にも害を及ぼしている。朝飲んだコーヒーの紙コップ、ちょっとした汚れを拭くための紙ふきん、使い捨ての家庭用品。多くが気にせず使われているだろう。

 毎日の小さな積み重ねが大きなごみの山を生み出す。生活が便利になりすぎているということではない。この消費社会を気にかける事がなければ、未来の世代が害をかぶることになり、社会警告として地球全体に発せられるにちがいない。

(英文記事=トラビス・スザカ、日本語編集=平瀬梨里子)

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