「オラ、コモエスタ!(やあ、元気ですか!)」 

 毎週火曜、水曜、木曜の夜7時ごろ、ニューヨークはブルックリンのとある場所に続々と人々が集まり、スペイン語が飛び交います。

 アメリカには毎年のように多くの人々が中南米から仕事を求め、母国から渡って来ます。アメリカにいる移民約4000万人のうち、半分以上が中南米からの移民です。そして、ニューヨーク州はカリフォルニア州に次いで移民が多く、430万人の移民が住んでいます*1(ニューヨーク州の総人口は約1900万人*2)。

*1 Pew Research Hispanic Center, US Immigration Population Trends
*2 US Census Bureau

給与未払いや不当解雇などの当事者が、自ら根本的な問題解決を目指す

 アメリカはその起源が移民でできた国のため、移民にオープンではあるのですが、実際には移民たちは様々な困難に直面しています。

 給与の未払い、不当解雇、最低賃金以下の給与、危険な環境での労働など、英語が十分に話せなかったり、ビザの関係で雇用主に強く要求できないことから、不当な労働条件に甘んじるしかない状況が生まれています。

 その移民たちに支援サービスを提供するだけでなく、困っている本人が自分の問題を認識し、問題を諦めずに解決に立ち上がることを支援しているのが、現在私が関わっている2つのNPOのうちの1つ、Make the Road New York(MRNY)です。

MRNY(Make the Road New York)の会議の様子(写真提供:筆者、以下同)

 MRNYには大きく3つの機能があります。1つはビザや市民権の申請、職業訓練、英語のレッスン、高校卒業資格取得支援といった移民たちへのサービスの提供。

 2つ目は移民たちに自らの問題を話し合ってもらい、問題を解決するためのアクションを共に起こしていくコミュニティーオーガナイジングと呼ばれる機能。そして最後に、移民たちが抱える問題を法律で改善するため、弁護士が議会に提案する法案を作り、法律分析をする機能です。

 現在ニューヨーク市内にオフィスが4カ所あり、メンバーは全体で5万人です。移民たちは会費を払い、メンバーになると支援サービスを受けられ、アクションを起こしていくことにも関わります。冒頭に紹介したブルックリンでの集まりは、このアクションを起こすために毎週開かれる会議の様子です。