日本では、いまLCC(格安航空会社)が話題だと聞く。国内やアジア諸国のLCCの情報が、たくさん入手できるようになってきたという。短・中距離の飛行機が破格の安さで利用できるとなったら、やはり費用節約のために利用したい人は多いだろう。

 ヨーロッパでもLCCは注目の存在だ。いや、すでに日常生活に馴染んでいると言った方が正しいだろう。現在、ヨーロッパ全体では、LCCは40社を超える。ヨーロッパは広いので、たくさんあっても不思議ではないのだが、実はこれほど多いと知ったのはつい最近だ。

 そんな中で、ヨーロッパのLCCの代表格イージージェット(easyJet)については、私は10年以上前から知っていたし、当時すでに利用していた。先日、久しぶりに利用したイージージェット。その体験をご紹介しよう。

就航都市100以上、ロンドンでは4空港から欧州各地へ

ヨーロッパを代表するイギリスの格安航空会社easyJet。1995年設立。コーポレートカラーはオレンジ(撮影:すべて筆者)

 イージージェットは、年平均5500万人の乗客を誇る。2012年は、41万5468便をヨーロッパ内で就航している大成功したLCCだ(数値はイージージェット機内誌より引用)。就航都市は年々追加し、今年もすでに2月に2ルートが加わった。

 ロンドンでは4つの空港で発着している。実際にはロンドン近郊で、北のルートン空港、北東のスタンステッド空港、東のサウスエンド空港、南のガトウィック空港だ。ヒースロー空港ではない。私の住むチューリヒではチューリヒ空港から発着といった具合に、その都市の主要空港を使っている場合もある。

 初めてイージージェットのことを知った時は、驚いたものだ。イギリス留学中で、友人から「ヨーロッパ中に路線を広げる格安飛行機がある。機内では飲食類は買わないといけないけれど、乗り心地はまあまあだ」と教えてもらった。サイトを見たら、本当に「嘘みたい!」というほど安かった。予約も、それほど面倒には感じなかった。

 利用した感想は、「チェックインに長い列ができて、待ち時間が長い」「出発・到着時間が遅れがち」「座り心地が、なんとなくよくない」「やっぱり飲み物くらいは配ってほしいな」といったことだったが、安さを考えれば容認することができた。

 だが、1つ「これはちょっと」と思っていたことは、今は座席指定になっているが、そのころは「座席指定がなかった点」だ。

 だいぶ前のことなのであやふやなのだが、私の記憶違いでなければ、当時は機内に乗った順から好きな座席を取ることができた。「電車の自由席車両のようだ」と確か友人は言っていたし、私自身が「この座席にしようよ」と機内で旅行仲間と話している場面もよみがえってくる。