中国が鉄道を使って長距離核ミサイルを常時、移動させる戦略を進めている。この動きについて米国が深刻な懸念を抱いていることが明らかにされた。

 中国の長距離核ミサイルの配備は、この方法により米国側の探知が一層、難しくなり、東アジアから米国本土までの安全保障に大きな影を投げることになるという。

 その背後には中国が核戦力をなお大幅に増強しようとする危険な構図が浮かび上がっている。

秘密裏に鉄道でICBMを運搬

 米国中央情報局(CIA)の元専門官たちが組織した国際安全保障の民間調査研究機関「リグネット」は、2月はじめ、「中国が鉄道基盤のICBMで核計画を増強する」というタイトルの報告書を公表した。

 その内容の主要点は以下のようだった。

・中国は米国本土にも届きうるICBM(大陸間弾道ミサイル)50~75基を戦略核戦力の主体として保有している。その大幅な増強計画の主眼として、ミサイルを鉄道軌道上の特殊な列車に搭載して移動させる新システムの構築を始めた。列車搭載のミサイルは、その列車から遠距離の標的に向けて発射される機能を有すると見られる。

・中国当局はその目的のために、新たに合計2000キロ近くに及ぶ鉄道を建設しようとしている。将来はICBMを載せた列車が一般の客車や貨車を装って走り、地下のトンネルにも停車できるようになるため、外部からの核ミサイル所在の探知が極めて困難になる。

・中国当局がこうした鉄道利用の戦略核ミサイル秘匿態勢を作ろうとするのは、自国の核攻撃能力をいつも保っておくという意図からであり、中国がこれまで宣言してきた「核先制不使用」の方針の事実上の放棄をも連想させる。