昨年、僕は『もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んだら』(以下、『もしドラ』)という本を執筆しました。おかげさまでこれがだいぶ評判になり、たくさんの方々に読んでいただけることになりました。

 この本に対する反響の大きさは、周囲の想像を超えたものでした。

 まず、大人だけではなく、子供たちにまで読者層が広がりました。さすがに小学生にはまだ早いようですが、部活に励む高校生たちが手に取ってくれたり、また、中学生の子供たちが、お父さんやお母さんから「これを読んでごらん」と手渡され、熱心に読んでくれていたりするのだそうです。

 高校生のみならず中学生まで『もしドラ』を読んでくれるようになったことは、出版元のダイヤモンド社でも驚きをもって受け取られています。

リーダーになりたくなかったと泣く女子中学生

 でも、今だから言うわけではありませんが、実はこの現象は僕がひそかに狙っていたことでもあるのです。

 ブログにも書きました通り、僕はこの本を「13歳以上のすべての人類」に向けて執筆しました。特に子供たちに読んでほしいという思いが強くありました。

 そう思うようになったのは、NHKのドキュメンタリー番組を見たことがきっかけです。歌手のアンジェラ・アキさんが、「全国学校音楽コンクール」に挑戦している各地の中学校を訪れて回り、激励し、中学生たちの奮闘の様子をレポートするという番組でした。

 その番組の中で、合唱団のリーダーを務めることのつらさを泣きながらアキさんに訴える女子生徒がいました。

 彼女はこんなことを言っていました。

 私は、なりたくてリーダーになったわけではありません。やる気のない部員がいても、私には何もできない。でも、周りのみんなは「あなたはリーダーなのに、なんで何もしないの」と言って私を責めます。もうリーダーなんてやりたくありません。

 そう言って泣くのです。

 その女子生徒を見て、僕は本当に心が痛くなりました。なんとかして助けてあげられないだろうか。そして、僕はこう思いました。僕がそばにいたら、ドラッカーさんの『マネジメント』を手渡して、「この本を読んでごらん」と声をかけてあげるのにと。