空港の名前が製紙会社の名前になっていたり、奇妙な駅名があったり、東京・新宿が野原のような閑散とした地域になっていたりと、米アップルがモバイル基本ソフト(OS)の新版「iOS 6」で採用した独自地図アプリには苦情が相次いでいるが、同社のお膝元でも厳しい評価が下されたようだ。
「消費者の期待を裏切る品質」と評価
米国で大きな影響力を持つと言われる消費者情報誌コンシューマー・リポートが、情報不足や不具合があると指摘されていたアップルのアプリについて調査した結果を公表したが、その評価は「消費者の期待を裏切る品質」というものだった。
アップルの地図アプリは、鳥瞰3Dビューやナビゲーション、リアルタイム交通情報といった機能を備えている。
しかしコンシューマー・リポートの調査員が米ニューヨーク市で実際に試したところ、複数の幹線道路で3Dビューは表示されず、情報量も少なかった。また地図の色合いが淡く、線が薄れて表示されるため、画面サイズが小さいアイフォーン4Sなどでは問題が大きくなることも分かった。
ナビゲーション機能についても、経路の優先・回避設定、ハイウエーの出口案内、車線案内などがなく、設定の選択肢が少ない点が他社製品と比べて劣っている。
アップルの地図アプリは未熟で、概してベータ(試用)版として公開されたばかりのアプリという印象。競合製品と互角に戦うにはまだ多くの課題が残ると結論付けている。
日本とは異なる「のんき」な反応
と、ここまではよいのだが、消費者の立場に立って厳しい評価をすることで知られているコンシューマー・リポートが、今回のアップルのアプリに対して寛容な態度を示していることが気にかかる。
利用者の苦情に対するアップルの回答は、「この地図サービスはまだ始まったばかり。クラウドベースのサービスのためより多くの人々が使うほど向上していく」というものだが、コンシューマー・リポートもこれに一定の理解を示しており、次のように述べている。
「現在はまだ完璧ではないが、アップルにはこれを急速に進化させていくことが期待され、同社にはそれが可能だ。この地図アプリはアイフォーンの付帯サービスとして歓迎されているという点は確かだ」