新潟県技術総合研究所が、レーザーでニッパーなどの刃の研磨精度を測定する装置を開発したと新潟日報(9月11日付)で報じられた。研磨した結果を数値化して熟練者の技術を可視化し、技術を伝承するのが狙いだ。
刃の研磨は熟練者が行うと削る量のばらつきが少なくなることに着目し、レーザー変位センサーを使って研磨した刃の約20カ所を1000分の1ミリ単位で測定して均一度を数値化した。
従来は製品評価を職人の勘に頼っていたが、これにより数値化・可視化できるようになった。新潟県三条市の地場作業工具メーカーであるマルト長谷川工作所では、すでに試験的に導入している。
研磨精度測定装置の開発事業においては、新潟県から290万円、総務省から1510万円の補助金を得たそうだ。開発目的は、上述の通り研磨精度の数値化による技術継承や品質管理である。しかし、使い道はそれだけにとどまらないのではないか。
測定装置は諸外国製品との比較優位性を客観的に示すことができるため、今後、燕三条の中小企業(金属工具メーカーなど)が途上国マーケットにおいて現地営業を行う場合、海外営業マンにとって強力な武器にもなる可能性がある。
燕商工会議所の「磨き屋シンジケート」
新潟県の燕商工会議所には「磨き屋シンジケート」があり、金属研磨・表面処理の共同受注システムがうまく機能している。
このシステムには、30社を超える金属研磨のスペシャリストが「協力工場」として参加。そこで、「磨く」仕事については、あらゆる顧客ニーズに対応している。今も注文が絶えず、個々の地場企業だけでは実現できない営業成果を生んでいるようだ。
金属研磨は、軽自動車塗装剝離~磨き~クリアコーティング(参考画像)からジェット機外観部品、ステンレス携帯電話まで幅広い用途に利用されている。また、オリジナルブランドとして「究極のステンレス製ビアマグカップ」も開発・販売している。
日本国内では口コミによって評判が広まり、こうした共同受注システムが十分に機能しているが、今後、途上国マーケットにおいても同じように機能させることができないものだろうか。