スマートフォン市場で苦戦しているフィンランドのノキアが今週5日に米ニューヨークでイベントを開き、米マイクロソフトの新モバイル基本ソフト(OS)「ウィンドウズフォン(Windows Phone)8」を搭載する新型機を発表すると米ウォールストリート・ジャーナルなどの海外メディアが伝えている。
ウィンドウズフォン8搭載スマートフォンは先週、韓国サムスン電子が発表しているが、ノキアの場合サムスンと異なり、これが最後のチャンスで、もしこの新製品が失敗すれば同社の経営は危機的状況に直面すると言われている。
エロップCEOの「いちかばちかの賭け」
米アップルが2007年に「アイフォーン(iPhone)」を発売する前まではノキアのスマートフォン市場におけるシェアは50%だった。だが最新の調査によると、これが今では10%にまで低下している。状況を打開しようとノキアは従来のOS「シンビアン(Symbian)」や、米インテルと開発していた「ミーゴ(MeeGo)」を取りやめ、主要スマートフォンのOSをウィンドウズフォンに切り替えた。
しかしこのOS戦略を発表して以来ノキアは39億ユーロの赤字を計上し、同社の時価総額は70%も減少した。
同社には、ウィンドウズフォン搭載の「ルミア(Lumia)」シリーズのスマートフォンが4機種(900/800/710/610)あるが、これらの今年1~3月期における販売台数は200万台、4~6月期でもわずか400万台で、アイフォーンの3500万台、2600万台と大きな開きが出ている。
ノキアのスティーブン・エロップ最高経営責任者(CEO)兼社長はマイクロソフト出身。こうした関係があることから、同氏はマイクロソフトのOSにノキアの将来を懸けている。
しかし、米ニューヨーク・タイムズによると、この戦略は「いちかばちかの賭け」。すべてを、市場シェアがわずか数パーセントのウィンドウズフォンの成功に託しており、もし失敗すればノキアとエロップCEOの将来が危ぶまれると伝えている。