ライフネット生命の創業者の1人であり副社長の岩瀬大輔さんは今年36歳。東京大学法学部在学中に司法試験に合格し、米国のハーバード大学大学院へ留学すると上位5%以内の人に贈られる「ベイカー・スカラー」(成績最優秀称号)を獲得した。日本人では4人目だという。
若くして実績を上げ続けられる秘密は何か。非常に興味がある点だと思う。今回、『入社10年目の羅針盤』(PHP研究所)という本を出版されたのを機に、久しぶりにお会いしたので、インタビューした。
これから日本のリーダーを目指す若い人には特に参考になるのではないかと思う。
先行き不確実な時代に、多くのビジネスパーソンがとまどっている
川嶋 昨年の『入社1年目の教科書』に続き、今回『入社10年目の羅針盤』を出されました。
岩瀬 『入社1年目~』はタイトル通り、新入社員向けの教科書なんですが、予想外に幅広い層の方に読んでいただきました。入社5年目、10年目といったビジネスパーソンですね。それで思いがけず14万部くらい売れました。
そこで今度は僕と同じ年代や少し下の30歳くらいの人向けの本を出そうということで今回の出版となりました。
川嶋 『入社1年目~』はなぜ売れたんだと思いますか。
岩瀬 正直、なぜこの本が受け入れられたのか不思議なんです。というのは、基本的なことしか書いていないですから。
「メールは24時間以内に返信せよ」とか「何があっても遅刻はするな」とか(笑)。そういうのがすごく共感される世相なのかもしれません。
先日、複数の編集者と話をする機会があったんですが、最近のトレンドとして、古典や歴史が売れているということでした。その理由の1つが、いまはものすごく先が不確実で、かつ前例のない時代に突入しているという社会状況です。
そこで頼りになるのは突飛で奇抜な方法論ではなく、歴史や、時代を越えて変わらない基本に立ち返るしかないということ。僕の本は別にしても、それは確かにあるなと思います。