携帯電話大手のフィンランド・ノキアが、来年末までに全世界で新たに1万人の従業員を削減するという計画を発表した。
同社は昨年から大規模なリストラ策を実施しており、既に1万4000人を削減することを明らかにしている。
しかし今回はさらに中核事業に注力する必要があるとして、これまで以上に大胆な策を打つ。
工場閉鎖、非中核事業売却、幹部刷新
これに伴って、フィンランドに唯一ある製造工場と、ドイツやカナダにある研究開発施設を閉鎖する。また、同社には「ヴァーチュ(Vertu)」という高級端末の事業があるが、これを売却する方針だ。さらに競争力を強化するとして携帯電話や販売、マーケティング部門の幹部人事も刷新した。
その一方で、位置情報サービスのソフトウエア技術を手がけるフィンランド企業から、エンジニアや技術、知的財産を買収する。ノキアは位置情報技術を、スマートフォン、フィーチャーフォン(従来型携帯電話)に並ぶ重要事業と考えており、この3分野に集中的に投資していく考えだ。
また同社は併せて、4~6月期の携帯電話事業の営業損失が事前予想を上回るという見通しも明らかにしている。
首位の座、サムスンに奪われる
こうして見ると、同社は危機的な状況にあり、それをスティーブン・エロップ最高経営責任者(CEO)をはじめとする経営幹部も認識しているようだ。
同社は長年にわたり、携帯電話の出荷台数で世界のトップを誇ってきたが、今年初めにその座を韓国サムスン電子に奪われた。
米IDCの調査によると、ノキアの携帯電話出荷台数が1年前から23.8%減少する中、サムスンは35.4%伸びている。これに米アップルが88.4%と高い伸びで迫っている。