米国の大手新聞「ニューヨーク・タイムズ」(5月29日付)に、日本を糾弾する全面の意見広告が載った。掲載面は15ページ目だが、文字どおり全面の巨大な広告である。
主題はいわゆる慰安婦問題だった。その非難の内容は明らかに事実に反しており、反日のデマ広告だった。
あえて「反日」とか「デマ」というどぎつい表現を使うのは、その内容が史実の歪曲や捏造、そして日本への剥き出しの敵意や悪意に満ちているからだ。
「日本政府はドイツの行動を学ぶべし」
まず広告の内容を紹介しよう。全面に広がる背景の写真は1970年12月に西ドイツのウィリー・ブラント首相がポーランドのワルシャワのユダヤ人犠牲者の記念碑前に膝をついて、献花をする光景である。第2次大戦中、ドイツ軍に侵攻されたポーランドでは、ユダヤ人がドイツ側に組織的に虐殺された。その惨劇の舞台の1つがワルシャワのこの地域だったのである。ブラント首相は自国の旧悪を謝罪したのだった。
広告の英文の記述ではまず最大の見出しとして「あなたは覚えていますか」と書かれていた。その他の記述は以下のようだった。
「1971年(正確には70年12月)にはドイツの首相ウィリー・ブラントがポーランドのワルシャワの戦争犠牲者記念碑の前にひざまずき、許しを求めました。
この行動は世界との和解へのドイツの誠実な訴えの象徴となり、世界平和に大きく貢献しました。
だが対照的に、日本政府は、第2次世界大戦中に日本軍兵士のための性的奴隷として行動することを強制された慰安婦たちに適切な謝罪をせず、適切な賠償もしていません。
日本政府はドイツの行動を学ぶ必要があります。
日本政府は慰安婦たちへの心からの謝罪を1日も早く表明しなければなりません。そうしてみて初めて日本政府は北東アジアの平和に寄与することができるのです」